本書は、「一生お金で困らない人生の過ごし方」というタイトルではありますが、読んでみると「晩年にお金で困らないための資産形成方法」だと私には感じました。
よく言われるように、私たちは「人的資産」と「金融資産」があります。人生の晩年には「金融資産」がそのほとんどとなりますが、その時、頼りにすべき「金融資産」が少なければ豊かな老後が過ごせません。
ですから、早いうちから国が推奨するNISAやiDeCoを活用しながら資産形成をしましょう、という内容です。
人的資産と金融資産
人は定年を過ぎると、労働による収入は1/3程度になりますが、それでも人的資産はまだまだあります。定年後も働くことによって、新たに金融資産を形成することもできます。
具体的には、厚生年金の受け取りを遅らせることです。1か月遅らせるごとに、0.7%増えます。仮に70歳まで5年間支給を遅らせると、0.7% × 12ヵ月 × 5年 = 42% 増えることになります。
若い頃に長期投資を行わなかったとしても、年金の受け取りを遅らせることで受取額が42%も増えることになり、より豊かな老後を迎えることができます。
定年後は自分に向いた好きな仕事を見つけられることは、ある意味で投資の成功と言えるのではないでしょうか。
そう考えると、自分の専門分野があり、運動が好きで健康を維持することは、現行制度から考えて「長期の投資(自分への投資という意味で)」だと思います。
私も定年が近づいており、どれだけ働くことができるのかわかりませんが、この考えに気づくことで、何だか敗者復活戦の切符を手にしたような気になりました。やはり、人は承認欲求が満たされないと、人生を味気なく感じます。
社会との接点
仕事を前向きに受け止めて働くことは、自分の承認欲求を満たすとともに、社会との接点を持ち続けていることにもなります。
また、社会との接点は仕事だけではなく、個別株を持つことも接点を持っていると思います。自分から見て「この会社の未来に投資しよう」と思うような会社の株を持てば、その会社の行く末が気になります。しかも自腹を切っているので、なおさらです。
このように、個別株を持つことも、社会との接点や考える刺激を与えてくれるものだと思います。