この本のタイトルだけを見ると、毎月3000円を投資するだけで資産が形成できるような気になりますが、実際にはそうならないことに注意が必要です。
本書を一言で言えば、「月々3000円から始めることで、投資生活に慣れるための本」と言えそうです。毎月3000円の投資は、あくまでも投資に慣れることを目的にしています。
投資にはリスクがあります。比較的安全と言われる債権やインデックスファンドであっても、絶対に損をしないという確証はありません。
親から博打をしてはいけないと言われて育った我々世代は、投資、投機、株、リスクと聞けば、思わず条件反射的に「恐い」という言葉が連想されます。
そのため、3000円から投資を始めることで、投資のハードルを下げる役割を果たしています。
「3000円なら私にもできそうだ」
「3000円なら、たとえ失敗しても損失は小さい」
そういう気持ちを後押ししています。
そういう意味で、「3000円投資活用術」は、投資にチャレンジしようとしている人のハートを掴むのでしょう。自信の投資活動で得たノウハウの中から25のコツを紹介しています。
例えば、
- 一つ買うだけで、日本を含む全世界に分散投資できる楽天・全世界株式インデックス・ファンド
- コストをいかに低く抑えるかが、投資の成功と失敗を左右する
- 世界恐慌が起きたときこそ、インデックスファンドの買い時!
- 3000円投資生活に慣れてきたら、投資額を増やし、リターンを増やそう
- 楽しく、ラクに、生活のムダを省く・・・などです
投資家目線で考えたとき、「いかにリスクを下げ、リターンを増やすか」、の視点で書かれています。長期的にはリスクが少ないインデックスファンドを、自分の性格や価値観により組み合わせる手法などを紹介しています。
eMAXISバランス(8資産均等型)を1つ選ぶのではなく、自分で先進国や新興国、株式、債権等を組み合わせています。その割合は、国内:先進国:米国:新興国=15:30:20:35。
ちょっとリスクがありそうですが、それなりのリスクヘッジをした上でリターンを狙うスタンスは、著者の性格や価値観を示していると言えます。
本書は、全くの初心者を、投資に関する独り歩きまで導くガイドブックと言えます。