投資に近い、オトクな貯蓄本・・・『萩原博子「ちょい投資」』

現金主義の経済ジャーナリストが書いた投資の本です。一言で言えば、「投資に近い、オトクな貯蓄本」だと思います。

この本は、株や債券のようないわゆる投資ではなく、リスクがほぼゼロで、リターンがそこそこある、貯蓄方法のような情報を紹介しています。だからこそ、タイトルに「ちょい」をつけたのでしょう。

リスクがなく、少しだけれどもリターンがあるため、活用した場合の満足度は高いといえます。もっとも、より多くのリターンを望む人や、面倒な手間を省きたいを考える人には物足りないかもしれません。

しかし、デフレとはいえ、預金金利がほぼゼロに近い状態でそれ以上のリターンをリスクがほぼナシで得られることは、本書の魅力と言えます。

本書の構成は、2部構成。
前半は、投資もどきのようなオトクな貯蓄情報。

例えば、
 1.国民年金の上乗せ保険料・・・月400円で大きく増える
 2.住民参加型市場公募地方債
 3.ご当地電力市民ファンド
 4.信用金庫への出資
 5.ふるさとオーナー制度など

そして後半は、正統派?の投資の落とし穴の解説です。
 1.メリットばかりじゃないNISAの落とし穴
 2.株式投資でちょっとオトクな優待生活
 3.なぜ銀行は、投資信託を勧めたがるのか
 4.一番売れている投資信託買ってはいけない
 5.インフレで大打撃!?従来型の個人年金など

今まで投資といえば、株、FX、債権、不動産などが一般的ですが、リスクがほぼナシの利殖情報は、投資本としての特色があります。怖くて株式投資や不動産投資に踏み込めない人には向いているのではないかと思います。

また、後半の株式投資の落とし穴については、トレーダーやファンドマネージャー、証券会社の経営者が書いた本と一線を画す内容となっています。投資家と証券会社の中間の立場であるフリーの経済ジャーナリストならではの視点で書いた本です。