新興国は、かつての日本の高度経済成長と同じなのか

新興国市場への投資に関する商品には、現在の新興国はかつての日本の高度経済成長期に当たっており、今が買い時です、と新興国への投資を促しているのも見受けられます。

しかし、経済成長率や株価の上昇カーブを見ると、かつての高度経済成長とかぶる気持ちもわかりますが、果たしてそうでしょうか。日本と新興国は同じでしょうか。ここは冷静に考える必要があります。

新興国が、今後も経済的な成長をするためには複数の要件が、以下に考えられます。

  1. 教育水準が高いこと。 今後とも成長を続けるには、社会制度の整備が必要になります。法律・組織・金融などの諸制度を拡充するためには教育を受けた人材が一定数必要となります。その教育体制は整っているのでしょうか。

  2. 国内紛争を抱えていないこと。 国内に紛争を抱えていれば、不確定要素が飛躍的に高くなります。経済活動はリスクを減らすこと、つまり、不確定要素を取り除くことで発展してきました。少ない利益でもリスクをできる限り下げることで巨額な投資が可能となります。紛争は不安定要素であり、リスクです。

  3. 国民の中に一定の中間層が育っていること。 外国資本の投入により投資やインフラが整備されると、経済は成長します。それからさらに成長を続けるには、内需の拡大が重要になります。中間層は内需を支え、国内経済を支えます。中間層が増えるほど、その国は安定していると言えます。

  4. 民主主義を採用していること。 独裁的な政権により、国内紛争が武力で弾圧されれば、紛争は長引きます。中間層も育ちません。不確定要素も拡大し、長期的なリスクとなり、外資の継続が難しくなります。

確かに株価が大きく上昇し、話題にもなりますが、小さな市場規模に多額の海外資本が入れば、値上がりして当然です。しかし、海外資本に頼っている限り、その国の金融資本の脆弱性は払しょくされません。

このように、実体経済とマネー経済の乖離が大きいのが、新興国です。もし、新興国に投資をするのであれば、しっかりとしたリスクヘッジが必要になるでしょう。