日本経済新聞11月26日の記事によると、岸田首相は、新しい資本主義実現会議の分科会で「一般NISAとつみたてNISAの双方の恒久化を実現する。金融商品から得た利益が非課税となる期間を無限化する」と表明。
つみたてNISAは毎年40万円が上限の20年間、合計800万円が非課税。この20年間を改正案では無期限に。
一般NISAは毎年120万円が上限の5年間、合計600万円が非課税。この5年間を改正案では無制限にするとしています。
背景には家計に眠る預貯金1000兆円を投資に誘導し、経済の活性化に結び付けたいようです。ニッセイ基礎研究所によると、日本人の1人当たりの資産所得は25万円、ユーロ圏は36万円、米国は110万円。
金融資産に占める税制優遇制度は、日本は2%、ユーロ圏は20%、米国も20%。このため、NISAの拡充で税制制度の幅を広げ、個人の資産所得倍増につなげたい考えを政府は持っているようです。
課題は2点。
NISAで実際に投資をしている口座数は1200万口座と日本の人口の約10%程度と低いこと。理由として「投資をする気がない」「制度が複雑」という意見が多いとのこと。
もう1点は、NISAの投資先が米国を中心とした海外株に集中していることです。
私が思うに、政府が考える経済の活性化や個人所得の増加のためには、非課税期間の無制限化に加え、非課税枠の拡大も必要だと考えます。
積立金額枠の拡大は、短期間に大口の投資を誘引することでリスクが増大することや、個人年金の補填として考えられた制度からの乖離が考えられますが、かといって今のままでは何も変わりません。
これから投資を行おうとする者からすれば、より魅力的な制度にしてもらいたいものです。