令和4年度 技術士2次試験(トンネル Ⅱ-1-1)解答案

今年度に行われた技術士2次試験の解答案を掲載します。技術士試験の合格を目指して学習されている方々の参考となれば幸いです。技術士2次試験の解答案につきましては、不定期で掲載いたします。ご活用ください。

問題:R4トンネル

Ⅱ-1-1 山岳工法における鋼製支保工の効果を3つ以上挙げ、それぞれについてその効果の概要を説明せよ。(答案用紙1枚にまとめよ。)


(解答案)

鋼製支保工は、トンネル壁面に沿って形鋼等をアーチ状に設置する支保部材であり、建
込と同時に一定の効果を発揮できる。山岳工法における鋼製支保工の効果を以下に挙げる。

①岩塊保持効果:鋼製支保工を地山と密着させることにより、部材の曲げ抵抗性やせん断抵抗性により局所的な岩塊の崩落を防止する効果である。亀裂の発達した硬岩、中硬岩、軟岩では、鋼製支保工は吹付けコンクリートやロックボルトが支保工化を発揮するまでの間の局所的な岩塊の崩落防止、弱層の補強を目的として使用される。

②地山への内圧付与効果:グラウンドアーチが形成されにくい軟岩や未固結地山等では、鋼製支保工等が反力として半径方向外向きの拘束力(内圧)を地山に与え、掘削面近傍地山を三軸応力状態に保つことで地山の耐荷力を高める効果である。塑性地圧が作用するような軟岩地山、切羽の自立時間の短い未固結地山、大きな土圧や変形が生じる膨張性地山等で使用される。

③吹付けコンクリートの補強効果:吹付けコンクリートは初期材令において弾性係数が小さいため変形しやすく、強度も小さいため、鋼製支保工を用いて一体化することにより、支保工の剛性、じん性を向上させる効果である。また、吹付けコンクリートと一体となって地山に密着し、トンネル軸方向に連続したアーチシェル構造を形成してトンネルや周辺地山の安定を図る効果がある。

(解説)

山岳工法における鋼製支保工の効果は、①岩塊保持効果、②弱層補強効果、③地山への内圧付与効果、④吹付けコンクリートの補強効果、⑤地山(脚部)への荷重伝達効果、⑥先受工の視点効果があります。

それぞれの概要は端的に表現できるため、文字数を膨らませることは難しい。その対策として、効果の数を増やすことにより問題が求める600文字に近づけることができます。