自分の頭の中が、堂々巡りの状態から抜け出せない。何を考えているのだろう。から一歩進んで自分の頭の中をスッキリさせ、それを相手にわかりやすく伝えるテクニックが述べられています。
具体的な方法論を述べるのではなく、まとめるヒントを示すことにより、読者に考えさせるように組み立ててあります。
本書の構成は大きく分けて3つ。まずはメモをすること。伝えるパターンを持つこと。「なぜ?」を使うことで自分の考えを深める。です。
メモの重要性
自分の考えをまとめるには、まずは自分の考えを、とにかくメモをすること。メモをすることで頭の中にあるものが「見える化」します。ヒトの脳はパソコンと似たようなもので、短期記憶(パソコンではキャッシュ)があります。
思考と短期記憶は中々両立しません。メモをすることにより、短期記憶の負担を軽くすれば、考えることに集中できます。そして、メモをすれば、考えたことを見ることができます。順番を入れ替えることにより、論理的な流れができてきます。
人に伝えるための型
自分の型を持つと、相手に話しやすくなりますし、分かりやすい構成にすれば、相手に伝わりやすくなります。一般的には「鳥の眼」から「アリの眼」に向かって話をする型や、過去から現在に向かって経緯を話す型、ビジネスであれば結論を先に伝え、理由を後で追加する型があります。
「なぜ?」を使えば、自分の考えが深まる
自分の考えをメモして、順番を並び替え、論理的つながりになるよう加筆修正すれば、自分の考えがまとまります。そこから一歩、自分の考えを深めるために、「なぜ」この考えになったのか理由を探ります。そして出た答えから更に「なぜ」と再び探ります。そうすると、考えの本質に迫ることができます。
例えば、自分はロードバイクに乗るのが楽しい。なぜなら、懸命にペダルを漕いで坂を上ると苦しいが、生きていることを実感する。さらに景色の良い場所から今まで走った道を上から眺めると、達成感がある。と、ロードバイクの目的は達成感を味わう事だということがわかります。
このように「なぜ」を使って思考を深めると、自分が本当に求めていることに近づいてきます。
ところで本書を読んで思ったのですが、会話は自分の考えを伝え、相手の意見を受け取る「思考」のキャッチボールです。しかし、ヒトの会話は協議や会議だけではありません。ごく親しい人との「たわいのない話」があります。
これは話をすること自体が目的なので、自分の考えがまとまらなくても、何となく話をするだけで構わないと思います。TPOに合わせることが大事ですね。