本書は英国人と結婚した日本人女性が、中学生になる息子の成長を描いた作品ですが、英国の制度や政治状況、そして実際に街で暮らす人の人種問題、貧困、教育制度も織り交ぜています。
とても読みやすい文章でありながら、政治的な話題をさりげなく物語の背景にちりばめるそのバランス感覚は、読んでいてちょっとした知的興奮をおぼえました。
また、主人公の少年は優等生的でありながらも真っ直ぐな性格は、「山田かまち」に似ているようで親近感が湧き上がります。
と同時に、彼の成長を見とどけたくなりました。読むこと自体を楽しむことができた作品。